悪人とは?

韓国の梨泰院でハロウィンで集まった人達による圧死事故が起きました。大きなショックを受けた方も多いと思います。大変悲しいことです。とあるSNSのコメントでこんなコメントを見ました。「亡くなった方は被害者でもあり、加害者でもあったんだな…」このコメントを見たときに、私は何とも言い難い感情になりました…。

 今月の標語は浄土真宗の中でも一般的によく知られている言葉です。「善人が往生するならば悪人は尚更往生できる」というこの言葉は、初見で見ると本来は「逆」であるべきと言われます。ですがここで考えなければいけないのは【悪人】の定義です。例えば私たち人間は命を殺し、命をいただいて生きております。それはしょうがない…と思うかもしれませんが、ここでの善悪というのは私たちの価値観ではなく仏様から見た善悪でございます。また、私たち人間はいつでも因縁があれば悪人になる可能性があります。今回の梨泰院の事故も、そんな気はなくともそこにいた全ての人がいうなれば加害者の側に周ってしまいました…。これはどうしても目を背けたくなりますが、目を逸らさずに言えば小さいことから大きなことまで私たちは必ず悪人であるというこです。では、善人とはなんでしょうか?「自分は善人だ!」という人は本当に善人でしょうか……。皆様が善人だと思う人がいるならば、その本人は自らを善人だと思っているでしょうか…。

 今回の事故であの場にいた方々がそれぞれどのように捉えているかはわかりません。被害者と思う方もいれば加害者と思う方もいるかもしれません。ただ心に傷を負ったことは確かだと思います。私は皆様の心が少しでも癒されることを願うばかりでございます。南無阿弥陀仏。