桜の季節になりました。私は住まいが小学校のすぐ近くにありますので、桜を眺めること多いのですが、ふと先日桜を眺めていると何故か桜の花びらの色が昔より薄く感じました。「もしや…老化か…?」と、心配になり少し調べてみると、桜の赤い色素はアントシアンという色素で、暖かい日が続くと樹にアントシアンが吸収されてしまい桜の花びらの色素が薄くなるとのことでした。東京のヒートアイランド現象や温暖化が関係しているかもしれないとのことで、老化ではなくホッとしたものの、なにか複雑な気分になってしまいました…。

 さてそんな老化を心配すると共に思い浮かんだのが良寛さんの言葉でございます。【散る桜残る桜も散る桜】この言葉は、生の美しさや儚さを表現するとても素敵な詩だと思います。皆様も経験があると思いますが、普段はなんとも思わず歩いていた道が、春になり、辺り一面桜が綺麗に咲き誇る桜並木だったことがよくあります。桜の木は一年中そこにあるのに、改めて気付くのが春であるのは、人間と似ているところがあります。身近にいる人が亡くなって、初めてその人の素晴らしさや有難さを気付くのは、散りゆく美しい桜吹雪を見るようです。生きとし生けるものはいずれ姿はなくなります。私たちが当たり前に存在していると思っているもの全ては有難いものなのですね。